無料になった MeeGo 向けアプリケーション開発製品
インテル® ATOM™ プロセッサー向けの開発製品には、有料版のインテル® アプリケーション・ソフトウェア開発ツール・スイートとインテル® エンベデッド・ソフトウェア開発ツール・スイートが用意されていましたが、2011年 2月に MeeGo* 向けのソフトウェア開発製品が無料化されました。この記事では、公開されたツールの概要を説明しています。
インテル® C++ Compiler for MeeGo
前述のアプリケーション・ソフトウェア開発ツール・スイートとエンベデッド・ソフトウェア開発ツール・スイートに含まれるコンパイラーはバージョン 11.1 がベースになっていましたが、MeeGo 向けの新しいコンパイラーは、インテル® C++ Compiler バージョン 12 がベースとなっています。新しいコンパイラーは Linux ホスト版と Windows ホスト版の 2 種類が提供され、各パッケージに含まれるツールには次のものがあります。
Windows ホスト版:インテル® C++ コンパイラー | 12.0 |
インテル® インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ | 7.0 |
インテル® スレッディング・ビルディング・ブロック | 3.0 |
Linux ホスト版:
インテル® C++ コンパイラー | 12.0 |
インテル® デバッガー | Build 74.566.1 |
インテル® インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ | 7.0 |
インテル® スレッディング・ビルディング・ブロック | 3.0 |
ホストシステム – 32ビット版 Fedora* 12、13、 Ubuntu* 9.1、10.2、 MeeGo V1.1 for Notebook
この 2 つのパッケージは、有償版のインテル® ソフトウェア開発製品とは異なり、インストール時にライセンス認証を行う必要はありません。パッケージをダウンロードしたらそのままインストールできます。ホストシステムにはコンパイラーをインストールする前に、MeeGo v1.1 SDK もしくは v1.2 プレビュー SDK がインストールされている必要があります。
製品版のインテル® C++ Composer XE 2011 で提供される以下の機能は利用できません。
- -ax
- -cilk-serialize
- -diag-enable sc
- -diag-sc-dir
- -[no-]intel-extensions
- -m64
- -march
- -mcmodel
- -mcpu
- -mkl
- -mtune
- -openmp
- -par*
- -auto-ilp32
- -tcollect
- -x (-xSSE3_ATOM のみ有効)
SSE 命令を指定する –x オプションや、アーキテクチャーの指定する –march、-mcpu、-mtune そして 64 ビットアドレッシングを行う –m64 オプションはサポートされません。また、OpenMP* やインテル® Cilk™ Plus、そして自動並列化 (-par) もサポートされません。
Windows ホスト版はクロス・コンパイラーであり、コンパイラー起動名やオプション形式は Linux ホスト版と同じです (図1のスクリーンショット参照)。Linux 環境と同じ makefile を Windows ホストで利用する場合、nmake は makefile を解釈できない場合があります。また、Linux コマンドツール群を利用している場合、別途 Linux コマンドツールを提供する環境をインストールしておく必要があります。
図1 Windows ホスト版のコマンドライン窓のスクリーンショット
インテル® VTune™ Amplifier XE for MeeGo
インテル® VTune™ Amplifier XE for MeeGo は、インテル® Atom プロセッサーベースのシステム上で動作するプログラムの性能解析とチューニングを支援するツールです。インテル® VTune™ Amplifier XE for MeeGo は、Linux ホスト版と Windows ホスト版が提供され GUI ベースで解析結果を表示できます。提供されるコンポーネントには以下のものが含まれます。
インテル® VTune™ Amplifier XE 2011 (Linux* ホスト & MeeGo* ターゲット) | 2011 Update 2 |
インテル® VTune™ Amplifier XE 2011 用サンプリング・コレクター | 3.4 preview 2 |
インテル® VTune™ Amplifier XE 2011 (Windows ホスト) | 2011 Update 2 |
2011年 5月時点で公開されているパッケージ (l_amplxe_meego_2011.009) には次のファイルが含まれています。Linux ホストで解析するには、ホストシステムにvtune_amplfier_xe_meego_2011.tar を展開してインストールします。Windows ホストの場合は、VTune_Amplifier_XE_Meego_2011_setup.exe をインストールしてください。
sep34_ia32_meego_2011.tar は、サンプリング・コレクター (sep) と呼ばれ、ターゲットの MeeGo システムにインストールして、性能データを収取する専用モジュールです。MeeGo システムで、sep により性能データを収集してホストシステムに収集したデータをコピーして結果を表示するのが一般的な使い方です。
収集した性能データは、ソースコードにマッピングしてソースレベルで性能特性を知ることができます。
サンプリング・コレクター (sep) は、インテル® Atom プロセッサー固有のハードウエア・イベントを収集できるため、キャッシュミスやメモリーアクセスなどのイベントデータを収集してソースと照らし合わせて解析することができます。基本的なインテル® VTune™ Amplifier XE の利用方法は、他のプロセッサー向け製品と同じですので、このサイトの他の記事も参照してください。
sep はカーネルレベルのドライバーモジュールとして実装されているので、アプリケーションだけでなくドライバーや OS の性能特性を調査することもできます。
これを機会にぜひ無料になったインテルソフトウェア開発ツールを利用して、MeeGo アプリケーションを開発してみましょう。MeeGo SDK などの開発環境については、別の機会で紹介します。
MeeGo SDK 1.2、インテル® C++ Compiler for MeeGo、インテル® VTune™ Amplifier XE for MeeGo は、インテル コーポレーションの AppUp developer program サイト (http://appdeveloper.intel.com/en-us/meego-sdk-suite (英語)) よりダウンロードすることができます。
2011年 5月 sugatech