インテル® メニーコア・プラットフォーム・ソフトウェア・スタック (インテル® MPSS) 3.7 の優れた機能
この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに公開されている「Prominent features of the Intel® Manycore Platform Software Stack (Intel® MPSS) version 3.7」の日本語参考訳です。
インテル® メニーコア・プラットフォーム・ソフトウェア・スタック (インテル® MPSS) 3.7 が 2016 年 4 月 6 日にリリースされました。この記事では、インテル® MPSS 3.7 の優れた機能について紹介します。
Hetero Streams Library をインテル® MPSS パッケージから分離
- micperf オプションの変更
- 代替 OpenSSH パッケージ
- インテル® MPSS コンポーネントのバイナリー強化によるセキュリティーの向上
- COI バッファー型 COI_BUFFER_PINNED のサポート廃止
- COI _dynamic 認証メソッドの削除
- 古い Linux* ディストリビューションのサポート廃止
- 古い OFED* バージョンのサポート廃止
Hetero Streams Library をインテル® MPSS パッケージから分離
Hetero Streams Library (別名 hStreams) が個別のソフトウェア製品となり、インテル® MPSS 3.7 からパッケージに含まれなくなりました。
ライブラリー・コードはオープンソースで、Github* (https://github.com/01org/hetero-streams (英語)) から入手できます。
各ライブラリー・リリースは、プロジェクトの Web サイト (https://01.org/hetero-streams-library (英語)) でホストされます。
Hetero Streams Library が個別の製品となった最初のリリースでは、以下のような多くの改善と新機能が提供されます。
- host-as-target 機能で Microsoft® Windows® プラットフォームをサポート
- 新しいロギングメカニズムによりエラー、デバッグ、その他の情報メッセージの品質を向上
- インテル® MKL ライブラリーの 64 ビット・バージョンをサポート
- インテル® Parallel Studio XE の環境変数で指定された標準パスでインテル® Xeon Phi™ コプロセッサーのシンクサイド・ライブラリーを自動検索
- ライブラリー・インターフェイスのバージョン管理によりライブラリーの下位互換性を細かく制御
Hetero Streams Library の本リリースは、以前のインテル® MPSS リビジョンと互換性があります。そのため、ソフトウェア・スタックをアップデートしなくても使用できます。詳細は、本リリースに同梱の『Hetero Streams Library User Guide』を参照してください。
Microsoft® Windows® 10 サポート
インテル® MPSS 3.7 から Microsoft® Windows® 10 ホストで実行できるようになりました。
機能変更
いくつかの既存機能が変更または改善されました。
micperf オプションの変更
micperf は、インテル® Xeon Phi™ コプロセッサー上でリファレンス・ワークロードを実行するためのツールです。1 つ以上のカーネルを実行し、パフォーマンス結果を収集します。“-p” オプションを指定すると、カーネル固有の引数をプログラムに渡すことができます。本リリースから、“-p” オプションは 1 つのカーネルの場合のみ指定可能になりました。これにより、追加の引数がどのカーネルに対するものかが明確になります。2 つ以上のカーネルで “-p” オプションが指定すると、次のようなエラーが出力されます。
$ micprun -k sgemm:linpack -p "--f_first_matrix_size 1000 \ --l_last_matrix_size 1000 --s_step 1000" ERROR: -p option can only modify the parameters for a single kernel, micprun received 2 kernels sgemm:linpack $
代替 OpenSSH パッケージ
インテル® Xeon Phi™ コプロセッサーとの通信に不可欠な OpenSSH パッケージは、OpenSSL* に依存しています。しかし、OpenSSL* に対するセキュリティー勧告は定期的にリリースされ、その都度インテル® MPSS のアップデートが必要になります。この問題に対応するため、代替 OpenSSH パッケージが追加されました。
デフォルトの OpenSSH パッケージ (OpenSSL* ベース) は、引き続きサポートされ、プライマリー OpenSSH ツールとしてインストールされます。代替 OpenSSH 7.1 パッケージは、OpenSSL* ライブラリーを利用しないでビルドされています。このバージョンでは、ユーザーは特定のキー交換アルゴリズムと公開/秘密キー形式を使用する必要があります。OpenSSL* ライブラリーへの依存性を排除したことを除いて、代替パッケージの使用によるユーザーへの影響はありません。
ユーザーは、代替 OpenSSH パッケージに切り替えて、公開/秘密キーを適切に設定することで、OpenSSL* 関連の問題に対応することができます。そうすることで、今後のインテル® MPSS リリースで OpenSSL* の問題が解決されるまで、インテル® Xeon Phi™ コプロセッサーを安全に使用することができます。代替 OpenSSH パッケージへ移行する場合は、ホストシステムに互換性のある OpenSSH クライアント・バージョンがインストールされていることを確認してください。この OpenSSH バージョンと互換性のあるキーは、次のように ssh-keygen コマンドで生成できます。
$ ssh-keygen -t ed25519
インテル® MPSS コンポーネントのバイナリー強化によるセキュリティーの向上
セキュリティー向上のため、一部のソフトウェア・スタック・コンポーネントが、特定のコンパイラーおよびリンクオプションで再コンパイルされました。使用されたオプションには、ソースコードの強化 (_FORTIFY_SOURCE マクロを利用)、位置に依存しないコード、読み取り専用の再配置領域が含まれます。
glibc、lustre-client、dapl を除く、インテル® Xeon Phi™ コプロセッサー上で実行するユーザー空間のモジュールはすべて、上記のオプションの一部またはすべてを使用して再コンパイルされました。glibc は独自の処理メカニズムを使用しますが、残りのモジュールはパフォーマンスの大幅な低下を防ぐため変更されませんでした。
削除された機能
インテル® MPSS の以前のバージョンで廃止予定となった COI 関連機能が削除されました。
COI バッファー型 COI_BUFFER_PINNED のサポート廃止
インテル® Xeon Phi™ コプロセッサー間で PCIe 全体にわたって共有されていたバッファー、COI バッファー型 COI_BUFFER_PINNED のサポートが廃止されました。本リリースでは、COI_BUFFER_PINNED バッファー型を作成しようとすると、COI API は COI_NOT_SUPPORTED を返します。COI_BUFFER_TYPE で、COI_BUFFER_PINNED の名前を COI_BUFFER_RESERVED_3 に変更する必要があります。
COI _dynamic 認証メソッドの削除
COI _Dynamic 認証モードが削除されました。2 つの認証モードを利用できます。
- micuser モード (デフォルト): すべてのシンク・プロセッサーは、シンク上の 1 ユーザー (default: micuser) によってスポーンされます。
- Authorized モード: シンク上のすべてのシンク・プロセッサーは、ホスト上でソース・アプリケーションを所有するユーザーによってスポーンされます (このモードは、ホストとコプロセッサーのユーザーが同じであると仮定します)。
古い Linux* ディストリビューションのサポート廃止
次の Linux* ディストリビューションのサポートは廃止されました。
- SUSE* Linux Enterprise Server 11 SP3
- RedHat* Enterprise Linux* 6.5
古い OFED* バージョンのサポート廃止
次の OFED* (Open Fabrics Enterprise Distribution) バージョンのサポートは廃止されました。
- OpenFabrics Alliance* OFED* 1.5.4
- Mellanox* OFED* 2.1、2.2
コンパイラーの最適化に関する詳細は、最適化に関する注意事項を参照してください。
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